京都アニメーション放火殺人事件の裁判をめぐり、一審で死刑判決を受けた青葉真司被告が、控訴を取り下げたことについて、弁護人から、取り下げ書の効力を争う申入書が提出されたことがわかりました。
2019年7月、京都アニメーション第1スタジオに放火し、36人を殺害、32人に重軽傷を負わせたとして、1審の京都地裁で2024年1月に死刑判決を言い渡された青葉真司被告(46)。
一審判決後に、青葉被告本人と弁護人のいずれもが大阪高裁に控訴していましたが、今月27日付けで、青葉被告本人が控訴を取り下げる書面を提出していました。
大阪高裁によりますと、今月30日までに、青葉被告の弁護人から、控訴を取り下げる書面の無効を訴える申し入れが提出されたということです。
◆過去には… 有効性めぐり2年超の審理経て死刑確定のケース
被告人の意思と別に、弁護側が控訴取り下げの無効を裁判所に申し立て、有効性が争われたケースは過去にもあります。
2015年、大阪府寝屋川市で中学生2人が殺害された事件では、1審の死刑判決を不服として、弁護人と被告本人が一旦控訴しましたが、2019年5月に被告本人が控訴を取り下げました。
弁護人が取り下げの無効を求める申し入れを大阪高裁に行い、高裁(第6刑事部)は2019年12月、「控訴取り下げによる結果(死刑確定)を、被告は明確に意識していなかったのではないかと疑わざるをえない」などとして無効と判断。控訴審再開を決定しました。
これに対し検察側が異議を申し立て、大阪高裁の別の刑事部(第1刑事部)が2020年3月、「無効決定はいったん取り消すが、もう一度第6刑事部で審理しなおすべき」という決定を下しました。
しかしその直後、被告本人が、再び控訴取り下げ書を提出。最終的に大阪高裁の第6刑事部と第1刑事部がいずれも、この2回目の取り下げ書を「有効」と判断し、弁護人の特別抗告も、最高裁が2021年8月に棄却。
2年あまりの審理を経て、被告の死刑が改めて確定しました。