MBS(毎日放送)

ちゃやまちプラザ

茶屋町を新たな文化発信の場とすべく、
毎週水曜日に
素敵なトークをお送りするプロジェクト
「水曜トークショー」!
毎回違ったテーマをそれぞれの出演者が
深く掘り下げる90分です!
水曜の夜、至極のショーを
どうぞお楽しみください!
<お問合せ先>水曜トークショー事務局
06-6371-0004 平日 10:00~18:00

4月1日(水)
水曜トークショー

今だからこそ『テレビについて』しゃべる
西田二郎(ytvプロデューサー)×村田元(MBSプロデューサー)



「"自分"というジャンル」

水曜トークショー水曜トークショー
村田:プロジェクターにお題を用意しました。気になるワードあります?
西田:<ジャンルっている?>っていうやつ。僕はジャンルっていうのは、思いたくないっていうのもあるし、思う必要がないと思ってます。
村田:僕はこの数年報道にいて、「それはバラエティじゃないですか」とか「情報番組じゃないですか」とか言われることとが多いわけですよ。情報を出せば情報番組だし、みんなが楽しかったらバラエティじゃないですか。だからジャンルで何か言われると、なんだかよくわかんなくなってくるというのはあります。
西田:そのジャンルの中に収まって成立するんだったら、それはそれで逆にわかりやすいからいいんでしょうけど、表現をする人のロマンで言うと、「ジャンルになりたい」んですよね。ミステリーの西田二郎、っていうより、西田二郎が考えるミステリー、であったり。私の仕事は西田二郎です、っていう意味のジャンルになっていいと思うんですけど、何で自分がジャンルというお風呂みたいなのに浸かりにいこうとするのかな。
村田:安心なんじゃないですか。
西田:お前は何やねんて話でしょ。
村田:よく番組企画書に書きがちなのは、これは妄想旅番組バラエティである、みたいな感じ。
西田:書く書く。
村田:安心しちゃうんです。お風呂なんです。企画書的にはいいけど、ジャンルをわざわざ書いてる時点でジャンルに負けてる自分っていうのもあるのかなと。
西田:ジャンルってあったらあったでええと思うし、世の中的に分かりやすいってことでいいと思うけど、自分的にはどうなんや、って。僕はそこ考えるほうだったりするんですよ。
村田:僕みたいなこと言ってるのは、青臭いんですか?
西田:そんなんは相手に伝わる言葉にしてあげたらいいだけでしょ。
村田:そういうことですね。
西田:なにもかも全部自分をさらけ出さんでええよ。僕はそこをすごく線引きしていて、本当に感覚が通じる人にはむしろ言葉を減らす。でも、ちゃんと説明しないとわからない人には、説明をしていかなあかんじゃないですか。自分が思ってることを違う言葉で置き換えていってあげないと不安になっちゃうから。ダウンタウンの松本さんなんかとしゃべったりすると、あたり前ですけど、やっぱりめっちゃわかりはるわけじゃないですか。僕のキャラクターもわかってはるから、今度はどんどん言葉とか単語がなくなってくるんですよ。打ちあわせで、
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西田「今度やりたいことあるんですけど」
松本「なんやねん」
西田「あの、なんかね、こう『グッ!』ていう感じが世の中的に足らんのちゃうかなと思うんですよね」
松本「なんやねん、何が足らんねん、『グッ!』とか知らんわ」
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とか言ってるうちに、
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松本「なんかようわからへんけど、もうわかったわ」
=====
って乗ってもらうみたいなことになる。それをきっちり言葉でやっていくと、言葉のイメージって皆さんが育ってきているベースによって言葉の幅なんかも絶対違ってくる。読売テレビと毎日放送で育って、テレビっていうものを捉えているのは同じなのに、違う言葉が絶対あるはずなんですよ。だけど、その違う言葉で合わそうとするから、そこは一生合うはずない。「合わせて行かれへんかったなー」って言うけど、もともと合うはずないんやから。わかる人には「『ギュー』って感じやな」とかのほうが飛ぶんですよ。わからない人は『ギュー』って言っても絶対わからない。言葉を介在させてもらわない限り、イメージなんて全然受け渡しできませんよ、っていう周波数の方々もいらっしゃるんですね。そういう人にはなんとなくですけど、いろいろたとえていってあげた方がいい。あまり言いたくないけど、「何々のような感じ」とかっていう風にしていくと、安心しはるけど、ものすごく伝わる人に「何々のような感じ」とか言うと、「お前、俺にそれ要るか?」ってなるじゃないですか。
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村田:逆効果ですよね。
西田:失礼じゃないですか。何で例えたことを言わなあかんねんと。お前が思ってること言ってくれよ、ってなるじゃないですか。
村田:だから、ジャンルというのはたとえ話なんですよね。
西田:そうそう、たとえ話だからみんなを安心させる道具なんだけど、本当に理解し合える人たちにはジャンルなんて必要ないんですよ。
村田:なるほど。
西田:だから、そういった意味では「どうしたいの?」っていうことですよね、コミュニケーションとして。あらゆる人を安心させたいために、ジャンルっていうものを使う生き方を選択するのか、本当に理解し合える人たちと一緒にいたいと思うから、ジャンルっていうことにこだわらないようにするのか、っていうところの生き方の選択だと思います。
村田:これは、なんかテレビの未来をしゃべってんのに、悩みを聞いてもらった感じですね。
西田:ご一緒させていただいている演者さんにしてもそうだと思うんですけど、絶対にジャンルを飛び越えて俺はやりたい、と思ってるほうを絶対奨励すると思いますよ。「ミステリーやりたいんです」じゃなくて、「僕が表現したいものがあるんです」って言って、「お前、それミステリーちゃうんか!」って言われたら、「ミステリー言わんといてくださいよ」って。
村田:かっこええ。
西田:その時になんかジャンルみたいなんを企画書に書いてる自分というものに思うところがあるんやって話ですよね。それはめっちゃあっていいことだと思います。ジャンルは要るっちゃ要るってことで。色々考えたらこのネタはほとんどがむらげんの悩み相談だってことですよね。
村田:そうなってきてるんですよね。

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