警視庁地域課鉄道警察隊。主に痴漢やスリなど列車内で起こった犯罪を取り締まる部署だ。そこに配属された元「見当たり捜査のプロ」米長学と「鉄道愛好家」の木村裕也。スリの常習犯を追った2人は、被害者を訪ねたホテルの密室で瀕死の女性を発見する。自殺か? 他殺か? 女性が最後に残した言葉「ト、ク」の謎を追って、米長と木村は独自に捜査を始める。女性は新進気鋭のファッションデザイナーのビジネスパートナーだった。彼女の出身地の祖谷に何があるのか? 大歩危、かずら橋、金刀比羅宮…四国を走るさまざまな列車を乗り継ぎ、鉄道トリックの謎を探る2人は、やがてライバルデザイナーとの火花散るファッション業界の裏側にも迫ってゆく。そして最後に、たどり着いたのは、女性が捨てたはずの過去と親子の哀しい物語だった…!
捜査への一途な思いと人情味を合わせ持つ元「見当たりのプロ」米長を演じるのは柳葉敏郎。その相棒となる「鉄道マニア」木村には筒井道隆。初共演となる2人が温度感の違うコンビを演じ、それぞれの特技を生かして事件の謎に迫る。2人の上司には制服姿も凛々しい田中美佐子。若い頃共演していた柳葉との、息の合った演技に注目だ。一方。華やかなファッション業界のデザイナーには白石美帆。そのライバルには山村紅葉が、初のデザイナー役に挑戦する。このほか、安藤玉惠、野間口徹、松尾諭ら演技派のメンバーが脇を固める。
四国を舞台にさまざまな人間模様が織りなすトラベルミステリーにご期待ください。
警視庁地域課鉄道警察隊の刑事。顔写真だけで指名手配犯を逮捕する見当たり捜査官として500人を挙げ、「見当たりの神様」と異名を取っていたが、とある事件をきっかけに鉄道警察隊へ配転。しかし、見当たり用の指名手配写真は手放さず、犯人逮捕に常に目を光らせている。
思い込んだら突き進む一本気なタイプで仕事熱心だが、人情味にあふれる一面も持つ。妻をがんで亡くしたあと、年頃の娘2人を男手ひとつで育てている。
スリの常習犯を追って四国へ向かい、列車内で逮捕した男が所持していたカードケースから、被害届を提出してもらおうと、持ち主をホテルに訪ねたところ、瀕死の状態に遭遇。図らずも事件に巻き込まれていく。
警視庁地域課鉄道警察隊の刑事。
鉄道マニアで時刻表や路線に詳しく、駅弁をはじめご当地グルメが大好き。
念願の部署に配属されて4年、仕事を心から楽しんでいる。が、好きなこと以外に興味がないため、周りの空気を読まないところがある。
鉄道知識を駆使して、米長とともに事件を追う。
警視庁地域課鉄道警察隊隊長。米長と木村の直属の上司。
さっぱりした性格で男勝り。部下の言葉にも耳を傾け、米長に所轄を超えて事件を追うことを許可する。
鉄道警察隊だが、地図や鉄道路線図は苦手。
モデル出身の美人ファッションデザイナー。ファッションブランド「メゾン・ド・アヤ」に所属。 “AYAグリーン”と呼ばれるエメラルドグリーンをブランドカラーにしたデザインが評価されて注目を集める。
事件の当日、偶然、高松駅で木村に目撃される。
「メゾン・ド・アヤ」社員で、須藤あやかのビジネスパートナー。
壬生川のホテルの密室で、米長と木村に瀕死の状態で発見されるが、その後、死亡。自殺か他殺か? 本籍地は徳島県の祖谷。
ファッション業界に君臨するトップデザイナー。
“MIWAゴールド”と呼ばれるゴージャスなコンセプトで知られる。新進気鋭の「メゾン・ド・アヤ」と国際平和博の公式コスチュームのコンペを争っている。
目的のためには手段を選ばない。
徳島県祖谷の出身。現在は香川県の金刀比羅宮の参道でうどん店を営んでいる。
谷村純子の部屋から、銀行口座番号のメモが見つかったことから捜査の対象に。谷村純子の幼なじみ。
谷村純子と徳田太一の幼なじみ。
祖谷の吉野川舟下り乗船場で、観光客向けの写真を撮影している。
米長の長女。母亡き後、家事全般を一手に引き受ける、しっかり者。
米長の次女。大学生。
山村美紗(「華やかな密室」より)
土屋保文