2025年04月23日(水)公開
「めっちゃ幸せ者やね」日本とアメリカの国際カップルが万博会場で『神前結婚式』外国人も大勢集まり祝福「神聖さと幸福感に満ちていた」企画した住吉大社の"こだわり"とは
大阪・関西万博
大阪・関西万博の会場で、アメリカ人男性と日本人女性という国際カップルの『神前結婚式』が行われました。なぜ万博会場で結婚式を?準備から当日までの2か月に密着しました。
8か月の交際の末ゴールイン 結婚式の会場は『大阪・関西万博』
東京都内に住むジェイコブ・コスグローブさん(30)と妻の今日子さん(27)。3月に婚姻届けを提出したばかりの新婚夫婦です。
出会いはスマートフォンのマッチングアプリ。当時ジェイコブさんは、アメリカに住んでいましたが、今日子さんと意気投合して、日本に移住。8か月の交際を経て結婚しました。
(今日子さん)「日本で会ってから、お互いの気持ちはすでに『結婚するよねこれは』みたいな」
(ジェイコブさん)「好き、大好き。Beautiful Woman」
そんな2人が結婚式を挙げるのが、大阪・関西万博の会場です。
1970年の大阪万博でも、会場に設けられた結婚式場で55組のカップルが式を挙げ、新たな門出を世界中から来た人たちに祝福されました。
(新婦 ※大阪万博の映像より)「この段に上がったとたんに、結婚しているんだなという実感が湧いたもんですから、自然に涙が出たんです」
企画した住吉大社が『神前結婚式』にこだわるワケは?
今回は地元・大阪の住吉大社が万博会場での『神前結婚式』を企画。97組の応募の中から2組が選ばれました。
(今日子さん)「皆さんに『おめでとう』ってひと言、言ってもらえるだけでありがたい。いろいろな言語でもしかしたら言ってもらえるかも。すごく楽しみにしています」
神社の外で結婚式を開催するのは初めてだという住吉大社。2月下旬、担当者の石橋篤さんはまだ建設途中の万博会場にいました。
式を挙げる場所は会場の南東に位置する『ポップアップステージ南』。能舞台のような空間で、毎日のようにイベントが行われる予定です。
(業者)「図面どおりなんです」
(住吉大社吉祥殿・挙式担当 石橋篤さん)「図面通りなんですか?そうですか?」
(業者)「どうしても図面と見た目がだいぶちがう」
(石橋篤さん)「思ってたより観覧席が少ない。図面上寸法とって計算したんですけどね。半分しかあらへん」
想定より狭い式場になりそうです。神前結婚式を象徴する花嫁行列への影響も…
(石橋篤さん)「できたら(新郎新婦が)2人横並びで歩けるところを模索したい」
(業者)「神事に詳しくないんであれですけど、1人がここで待ってて、もう1人が出てきて、2人で(舞台に)出てくるのでは…」
(神社スタッフ)「違うんです。花嫁行列は決まってる」
花嫁行列は、雅楽や神職らに続いて、新郎新婦が2人並んで式場まで向かうのが習わしです。伝統的な神前結婚式を行うためには、ここを変えるわけにはいきません。
住吉大社がここまで伝統にこだわるのには、わけがありました。
(住吉大社 岡康史権宮司)「この度の大阪・関西万博における神前結婚式は、単なるイベントの参加ではない。日本の婚礼文化を継承する、そして発信するという役割を担っていることを忘れないでいただきたいと思います」
住吉大社によると、40年前は8割が神前結婚式を選んでいましたが、近年は2割以下になっているといいます。世界各地から人が集まる万博で神前結婚式をアピールすることで、後世まで伝統を継承していってほしいと願っているのです。
式場を模したステージで“当日の流れ”を入念にチェック
挙式まで1か月を切った3月20日。住吉大社には万博の式場を模したステージが組み立てられていました。
(住吉大社吉祥殿 石橋篤さん)「舞台を作るだけでも半日かかって、祭壇つくって、全部いれたら(準備に)1日」
万博の式場はいつもと広さも配置も違うため、ミスがないよう全員でチェックします。
(石橋篤さん)「新郎新婦(が舞台から)おりてきて写真タイム」
(スタッフ)「舞台の上かと思ったけど」
(石橋篤さん)「(舞台の)下の人と一緒に撮らない?」
(スタッフ)「親族は上がってもらって」
(石橋篤さん)「収拾つけへんくならんか」
「これを機会に皆さんに神前結婚式を知っていただけたら」
こうして迎えた4月19日、挙式当日。午前5時から式場の準備が進んでいました。
(住吉大社吉祥殿 石橋篤さん)「前日も催し物があったそうですので、早朝からの準備。眠たいです」
舞台の上では祭壇が海風によって倒れないようにしっかり補強。神様を迎える儀式を行います。
一方そのころ、万博会場近くのホテルでは、新郎新婦の準備が進んでいました。
(今日子さん)「これを機会にぜひ皆さんに(神前結婚式を)見て知っていただけたら」
(ジェイコブさん)「たくさんの人が見に来てくれたらいいなと思うし、光栄なことだね」
「世界の結婚式の共通点や違いが興味深い」世界の人々が2人を祝福
そして午前10時。いよいよ花嫁行列が姿をあらわしました。
式では、夫婦で盃を交わす三々九度など、伝統的な儀式の説明も日本語と英語で行われます。
(司会)「This part of the ceremony is called sansankudo.(この行事は三々九度と呼ばれます)The meaning of this ritual is that the bride and groom pray for each other happiness(儀式の意味は、新婦と新郎が互いの幸せを祈ることです)」
親族や友人のほか、来場者は誰でも参列することができます。外国人も大勢集まり2人を祝福しました。
(ジェイコブさん)「誓いの言葉。住吉大神の大前にて、いま私どもは厳かな結婚式を挙げ、終生忘れ得ぬ感激を覚えます」
そして、約30分の式が無事に終了しました。参列した来場者は…
(アメリカから来た人)「世界の結婚式には共通点もあるし、違うところもあるんだというのが興味深かった」
(アメリカから来た人)「アメリカの結婚式とは全然違ったね。神聖さと幸福感に満ちていた。ご家族同士の結びつきに感銘を受けました」
(今日子さん)「いろいろな人に祝福されて、通り過ぎるだけで笑顔で迎え入れてくれる。とても温かい場を提供していただけた。めっちゃ幸せ者やね」
(ジェイコブさん)「本当に完璧な式だった」
住吉大社の担当者・石橋さんは神前結婚式の魅力が世界の人に伝わったと手ごたえを感じています。
(住吉大社吉祥殿 石橋篤さん)「やっぱり結婚式はよいものですよね。ぜひとも結婚式のときは神前式でしてくれたら。あした以降で思い出にふけりながら涙したいと思います」
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