2023年06月15日(木)公開
【ヒスタミン食中毒】給食の『焼きサバ』食べた園児43人が発症 焼いても揚げても分解されない「ヒスタミン」
編集部セレクト
奈良市によりますと、13日午後、奈良市立の4つの保育園とこども園で、給食を食べた園児らの口のまわりや背中、顔や腹部に、相次いで発疹の症状が出ました。 症状が出たのは、給食を食べた園児265人のうちの43人で、いずれも軽症ですでに回復しているということです。
この日のメニューは「ご飯、サバの塩焼き、キャベツのごま和え、じゃがいものみそ汁」でした。
保存していた検食を調べたところ、焼きサバと、食材の生サバ、どちらからも症状を呈する濃度の「ヒスタミン」が検出されたということで、奈良市はヒスタミンによる食中毒と結論づけています。
4園とも同じ業者が給食を提供していて、奈良市は衛生管理や温度管理の徹底を指導しました。
奈良市によると、業者はサバを6月9日に購入し、調理提供した13日当日まで「冷蔵」や「冷凍」で保存していたということです。
【ヒスタミンは焼いても分解されない】
奈良市によりますと、ヒスタミンの元は、サバやマグロ、カツオやイワシなど赤身魚が元来有しているアミノ酸の一種「ヒスチジン」。
魚を常温で放置したり、冷蔵で長時間保存すると、体内で「ヒスタミンに変化」し蓄積されて増えていき、食べた人に食中毒を発生させることがあるといいます。
症状は食後30分ほどで発症。1日ぐらいで回復するということですが、顔が赤くなったり、発しん(じんましん)が出たり、頭痛や発熱などがあるということです。重症化はあまりないとされていますが、まれに気管支炎になったり血圧低下があったりするということなので注意が必要です。
特に15歳未満の子どもが発症するケースが多く、全体の6割を占めているということです。保育園や学校が関係する給食施設が原因になるケースも多くあるということです。
やっかいなのは、ヒスタミンは一度生成されると加熱しても分解されず、「焼き物・揚げ物」にしても食中毒が起きうるということです。
【注意すべきポイント、対策】
・生の赤身魚は常温保存しない、冷蔵保存でも温度や保存期間に注意してできるだけ早く食べる
・冷凍した魚は、冷蔵庫内で解凍するなど、可能な限り低温で、短時間のうちに解凍して調理する。冷凍と解凍の繰り返しは避ける。
・ヒスタミンが蓄積していても外見変化や腐敗臭はないが、食べたときに「舌先にピリピリした刺激」を感じることがある。
舌先がピリピリしたときは、食べるのをやめましょう。
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