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「思い切って目の色を変える」半年前にすでに始動...しかし公開前日までこだわる細部 阪急うめだ本店『クリスマスウインドー』装飾担当50年のアートディレクターが総指揮

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 大阪のクリスマスを彩る「阪急うめだ本店」のショーウインドー。毎年楽しみにしている人も多いのではないでしょうか。このショーウインドーには50年以上の歴史があり、季節によって様々な展示がありますが、中でも人気があるのがクリスマスシーズンの装飾。今年はどんな狙いがあるのでしょうか?制作現場に密着しました。

今年のテーマは『鏡の国のアリス』 7面で表現するオリジナルストーリー

 外国人観光客や親子連れなど多くの人が足を止めてスマホを向ける阪急うめだ本店のショーウインドー。11月15日にクリスマスの装いに様変わりしました。
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 今年のテーマは『鏡の国のアリス』。7つのウインドーに、鏡の中の世界に迷い込んだアリスが様々な体験をして再び現実に戻るというオリジナルストーリーが、きらびやかなクリスマスの装飾とともに繰り広げられています。

 ウインドーを見た人たちからはこんな声が聞かれました。

 「すごくきれい」
 「写真撮っていました」
 「気づいたら写真撮っていました」
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 「うきうきする、見に来るだけで。毎年、前で子どもと一緒に写真を撮ってクリスマスを迎えるみたいな感じで、恒例にしています」

【公開:半年前】「またこの時期がやってまいりまして…」すでに準備は始動

 ウインドーのお披露目からさかのぼること半年、5月23日。すでにクリスマスに向けた作業は始まっていました。
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 (亀山和廣さん)「またこの時期がやってまいりまして、今日、第1回ということでよろしくお願いします」

 阪急うめだ本店のストアデザイン部アートディレクター・亀山和廣さん(69)。ウインドーの企画から構成、装飾の演出などを行う、いわば制作総指揮です。7つあるウインドーにどのような世界をつくっていくのか、亀山さんのイメージをスタッフと共有していきます。
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 アリスなど物語の登場人物を手掛ける人形作家・舞台美術家の林由未さんも、活動拠点のチェコから駆けつけました。

 (林由未さん)「人形にチェス感を残したいなと思ったので、あんまりこの辺を消すと逆にチェス感が消えないかなと」
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 (亀山さん)「ちょっと顔は長い感じですね。サイズ的には、もう少しでかいほうがいいんですよ。ひと回りでかい」
 (林さん)「ひと回り」
 (亀山さん)「顔がでかく、どんと出したいなと僕は思っています」

『本物のモデルを使用』『ライブペイント』ユニークな発想で人々を魅了

 阪急百貨店に今と同じようなショーウインドーができたのは1972年。
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 その同じ年に亀山さんもデザイナーとして入社しました。以来、約50年にわたり店内やショーウインドーの装飾を担当。
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 当時のショーウインドーではマネキンが並びファッションをメインに展示していましたが、マネキンの代わりに本物のモデルを使うパフォーマンスや、若手芸術家たちがショーウインドーの中で作品をつくり上げるライブペイントなど、百貨店の買い物客だけでなくコンコースを通る多くの人たちも楽しませてきました。
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 クリスマスもそのひとつです。亀山さんは20年ほど前からクリスマス風に装飾するだけでなく、自らストーリーを考え物語を展開するスタイルに変えて、今のクリスマスウインドーの形をつくり上げました。

【公開:1か月前】人形の実物と対面!ショーウインドーの奥行きなど考慮して調整

 ウインドーお披露目の約1か月前、10月11日。亀山さんの姿は横浜にありました。訪れたのは人形作家・林さんのアトリエ。チェコで林さんが制作していた人形たちが日本に到着。これまで写真や映像では見ていましたが、実物はこの日が初めてです。

 (亀山さん)「すごいな~。今回、人形がみんなでかいから」
 (林さん)「でかいです。外も…外もなかなか」
 (亀山さん)「すごい」
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 室内に入り切らないほどの巨大な人形たち。あえて大きな人形を依頼したのには亀山さんのこんな狙いがありました。

 (亀山さん)「大きい方が、ショーウインドーをご覧になる方が一緒に写真を撮られる時に目標にしやすいので、ちょうどいいなと思っていて」
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 しかし、ショーウインドーは奥行きが1mほどしかなく厚みは厳禁。図面と照らし合わせてみると…。

 (スタッフ)「いま衣装込みで(幅)75cmぐらいですか?」
 (スタッフ)「70cmぐらい」
 (スタッフ)「削らないかん。手とか」
 (スタッフ)「手、もろに干渉しますよ」
 (亀山さん)「ということは下もカットするということやね?」
 (スタッフ)「アカンかったら現場でここを切ろうかなと思っている」
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 せっかくの作品ですが、オーバー部分は容赦なくカット。クリスマスウインドーで使う人形は大小あわせて約100体。図面との照合作業は3時間続きました。

【公開:3週間前】シミュレーション作業で完成形に仕上げる

 お披露目の3週間前、10月25日。京都市伏見区にある倉庫では、実際のショーウインドーと同じサイズの枠に人形や装飾を設置する作業が行われていました。

 (作業するスタッフ)「その位置をだいぶ変えます。あれくらいまで」
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 (亀山和廣さん)「シミュレーションということで、大きなもののレイアウトを大体決めて、ちゃんと手が動くとか干渉しないかとかをチェックする。それができて初めて現場に持っていく」
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 実際、図面通りに配置をしても思い描いていたものと違うことも多く、配置や動きを調整。このシミュレーションで完成形に仕上げていくのです。4日間かけて7つ全てのウインドーの調整が完了。

【公開:2日前】いよいよ建て込み作業開始…狭い空間での作業は難航

 そして11月13日、閉店後の午後9時半にいよいよクリスマスウインドーの建て込み作業が始まりました。人形や装飾、背景のパネルなど、必要なパーツはトラック8台分。約40人のスタッフで7つのウインドーをつくり上げていきます。
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 シミュレーションで配置が確定しているので、あとは図面などにあわせて、人形や装飾、パネルなどをウインドーの中に納めるだけ…かと思いきや作業は思うように進みません。理由はショーウインドーの狭さです。
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 (亀山和廣さん)「僕らが思っている以上に狭いですからね、ショーウインドーの中はね。ものが大きいものがいっぱい、だけど背が高くないと届かないということで、どうしてもこういうことになるんですよね、やっぱり」

 さらにクリスマスは装飾が多く、その分、慣れている職人にとっても難しいのだといいます。
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 11月14日、2日間にわたって行われる建て込み作業。完成に近づくにつれて亀山さんのウインドーを見つめる目が厳しくなります。
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 (亀山さん)「思い切って目の色を変えるというのはどうかなと思ったんですよ。例えば赤っぽくするとか、そうしたら目がもっとキュッと出るかなと思って」
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 元々青だったユニコーンの目を際立たせるため赤に塗り直し。ベストなものに近づけるため妥協はしません。

ついにお披露目!装飾に目を奪われて立ち止まる人たち

 調整は夜が明けても続き、結局、15日午前7時半すぎにようやく完成となりました。
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 亀山さん、子どもたちに楽しんでもらいたいと、ウインドーにある仕掛けをつくっていました。
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 (亀山和廣さん)「ここ(設置された台)にのって、このライン。楽しいものがいっぱい隠れているので、見つけてもらうという喜びですね」
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 11月15日、コンコースを行き交う人が多くなる午前10時すぎ、ウインドーの前は食い入るように見つめる小さな子どもや写真に収めようという人たちでにぎわっていました。亀山さんたちがつくり上げた『鏡の国のアリス』の世界は外国人観光客をも虜に。

 「This is so cool!」

 (亀山和廣さん)「やっぱりうれしいですよね。たくさんの方に見ていただけて本当に感動します」
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 クリスマス本番はこれからですが、亀山さんの気持ちはすでに来年のクリスマスに向いていました。

 (亀山和廣さん)「もうアイデアはいくつかあるので、それを実現に向けて、また今からスタートします」

2023年11月20日(月)現在の情報です

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