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【たった5人のバスケ部】経営難で部員激減&"ハトが入り込む"体育館で練習...ギリギリの人数で挑んだ『全国大会』に密着「5人でも勝てるんだと証明したい」 和歌山南陵高校

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 去年12月、東京で行われた全国高校バスケットボール選手権大会(ウインターカップ)。各地から60の強豪チームが集結しました。その中で、ひときわ注目されたのが、たった5人で大会に挑んだ和歌山南陵高校です。数々の苦労を乗り越えた部員たちの「最後の試合」に密着しました。

エアコンなし・ハトのフン散乱・水浸しのトイレ…

 和歌山県日高川町にある和歌山南陵高校。2020年創部のバスケ部は全国大会に連続出場する強豪で、多くの有力選手が集まっていました。しかし、深刻な経営難などから生徒の受け入れが一時停止され、生徒数が激減しました。

 去年7月、学校の体育館では、うだるような暑さの中で部員らが練習に打ち込んでいました。赤字経営のため、夏でも空調はありません。

 (藤山凌成くん)「暑いです。まじやばいです」
 (和中裕輔監督)「きょうまだマシちゃう?“サウナ感”ないやん」

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 また、床にはハトのフンが散乱しています。

 (二宮有志キャプテン)「(体育館の)外の屋根が剥がれ落ちて、そこからハトが入ってきて練習中に飛び回ったりして、僕らが掃除しています」

 さらに…

 (二宮有志キャプテン)「カーテンがところどころ破れていて、そこから日光が入ってきて、シュート打つときに顔とかぶってまぶしくて、リングが見えないこともあります」

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 部員が共に暮らす寮には空調設備がありますが、少しでも経費を浮かせるため、農業用のビニールで仕切りをつくっています。

 (中村允飛くん)「(Qどう思った?)『まじか』とは思った。ここまできたら、あんまり気にしてないです」

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 トイレの天井には、ぽっかりと大きな穴が。雨のひどい日は、水浸しになってしまいます。

ナイジェリアからの留学生が全国大会前に帰国 選手交代できないギリギリの人数に

 こんな厳しい環境もあって、40人以上いた部員は次々と去り、去年4月には3年生の6人だけになりました。

 (二宮有志キャプテン)「(Q自分も辞めようと思わなかった?)バスケができる以上はここのバスケ部で続けようと。5人切っていたら転校していたと思います。この6人で全国行ってやろうと思いました」

 その言葉通り、夏のインターハイに出場。身長2mを超えるナイジェリアからの留学生、イドリスくんの高さを生かした攻撃もあって、1回戦を突破。その後、高校バスケ最高峰の舞台、ウインターカップへの出場も決めましたが、本番1か月前の去年11月、予期せぬ事態が訪れます。

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 (二宮有志キャプテン)「(留学生のイドリスくんは)ウインターカップ予選までいたんですけど、終わってから家庭の事情で国に帰ることになってしまって」

 留学生のイドリスくんがナイジェリアに帰国してしまったのです。バスケは5人でプレーするスポーツ。選手交代もできないギリギリの人数で全国大会に挑むことになりました。

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 (二宮有志キャプテン)「6人でもしんどかったんですけど、ファウル5回すると退場で4人になるので、そこは気を付けています」
 (和中裕輔監督)「(Q5人は大変?)体力面・集中力・けが・ファウル…いろいろ。6人と5人は天と地の差というか、全然違う」

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 5人で全国を戦うために戦略を変更します。練習で繰り返していたのが、ゴールに遠い場所からボールを放つスリーポイントシュート。これまでは2mを超える選手がいたため、ゴールに近い場所からの攻めが中心でしたが、ロングシュートで攻める戦術に切り替えたのです。

 (藤山凌成くん)「イドリスが抜けた後の試合とか全然うまくいかなくて、イドリスに頼っていたと痛感した。それ以降は1人1人が責任感をもってやらないと、5人なので替えがきかない。5人でも人数関係なく、全国で勝てるんだと証明したいです」

練習重ねたスリーポイントシュートで追い上げるが…まさかの1人退場

 そして、去年12月、5人にとって高校生活最後の全国大会が幕を開けました。黒のユニフォーム、和歌山南陵の初戦の相手は県立長崎工業です。序盤は点の取り合い、一進一退の攻防が続きます。中盤には、和歌山南陵がリードを奪う場面も。

 しかし、選手交代を繰り返す県立長崎工業に徐々に攻め込まれ、一時は9点差に。懸命に食らいつく和歌山南陵。終盤、練習を重ねてきたスリーポイントシュートが3連続で決まり、ついに2点差まで詰め寄ります。

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 そうした中、試合時間が残り7分となった直後のプレーで5つ目のファウルを取られ、1人が退場になってしまいました。本来なら代わりの選手が出るところですが、控え選手がいないため、4人でプレーを続行します。

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 ただ、誰も勝利を諦めていませんでした。

 「走ろう!走ろう!」
 「最後やろう!最後やろう!」

 そして、終了のブザーが鳴る直前に放ったスリーポイントシュートで、高校最後の試合を締めくくりました。
 
 【結果】
  県立長崎工業 80-64 和歌山南陵

 (藤山凌成くん)「やりきった、ほんまに」

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 (中村允飛くん)「最後はこの5人と和中先生でやれて、本当によかったなと思います。最後、勝ち切りたかったのが強かったです」
 (藤山凌成くん)「(高校に)入ったころは、経験したことがないことが次々と起こって、自分自身も耐えられなくなったときもあったんですけど、終わってみれば3年間そういうことが自分たちを強くしてくれたのかなと。ここでやってきたことに意味があると思うので、しっかりこの3年間をかみしめて、大学でも頑張りたいと思います」

 和歌山南陵高校は全校生徒18人がいずれも高校3年生で今春に全員が卒業しますが、今年4月に入学する新入生の募集を再開しています。

2025年01月14日(火)現在の情報です

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