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【単独インタビュー】救済法案通過後に元2世信者小川さゆりさんが明かした『顔出しで訴えた思い』きょう午後参考人招致へ「自分のような宗教2世を生み出したくない」

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(小川さゆりさん(仮名)――きょう1日を振り返って どんな1日でしたか?「すごく歴史的な瞬間に立ち会わせいただいてありがたいなという気持ちです」――もう涙はでませんか?「まだ成立まで(日にちが)あるのでこれで全部解決したのだったらうわっと泣きたいですけど、まだまだやらなきゃいけないことも残っているかなと思うのでしっかりしたいです」

「歴史的な瞬間に立ち会えた」

――まだまだがんばりますか?
「頑張ります。できることは 自分の役割で何かできることがあるなら、頑張りたいと思っています」

――国会の本会議での討論の間に答弁者を見据えるかのような目で御覧になっていましたが、あの時はどんな気持ちでしたか?
「本当に短い期間で法案をつくっていただいた方々がまさにお話しているわけで本当にありがたいなという気持ちももちろんあります。すごく本質的なところに触れてくださっている議員さんだったりとか被害者のことを立憲民主党の議員さんも私と橋田さんのことを話してくださったりとか真剣な思いで聞いていました」

――途中ひざに顔をうずめるぐらいの感じでうつむいていたが、どうされたのでしょうか?
「きょう採決して法案ができるとしても、まだ成立には至っていないので、ちょっと泣くのは早いかなって思ったし、被害者の代表として あんまりメソメソしているところを見せたくないんですね。どうしたら映らないかなと思ってました」

「本当に大きく一歩前進した日」

――流した涙はどんな涙でしたか?
「ずっとみんなが苦しんできたものが、きょう採決されて揺らぐことはないと思うので、すごく歴史的な瞬間だったと思うんですね。それまでに亡くなっていた方もいたでしょうし自殺してしまった方もいましたし、今も傷が癒えずに苦しんでいる方もいます。自分が被害者ということにも気づかずに カルトの旧統一教会に対して信仰を続けている方もいるでしょう。ただ、そういった色々な方々の様々な歴史があった中でもきょうは本当に大きく一歩前進した日なんだなと思って、それでちょっと気持ちが抑えきれなかったです」

――それはうれしい気持ち?
「もちろん、ありがたいなという気持ちが本当に正直な気持ちです。一方で法案については課題があります。裁判で実効性を伴うのか、本当に宗教2世が救われるのかといういろんな課題は残ってしまっているんですが、それでも臨時国会が始まって、3か月で法案が成立しようとしていること、そして与党と野党が共闘して作っているということ、そのいろんな事実が奇跡に近い状況です。ここまでやってくださったみなさま、関係省庁の方々、政府の方々に本当に感謝したいなって思いました。それは本当に被害者の声を聴いて 信じてくださって、助けたいと思ってくださった議員さん方に ほんと感謝したいです」

「自分のような宗教2世を生み出したくない気持ちで来た」

――小川さんが顔を出して声をあげるということは すごく覚悟が必要なことですか?
「そうですね。やっぱり顔を出している分 いろんな被害者の言葉とかがすべて自分の言葉のように捉えられてしまう。私の場合は 直接的に献金した立場ではないので、そこがぱっとみて分かりづらい部分というのがどうしてもあって、それで『家庭の問題なのに被害者面するな』みたいな意見などがあって自分へ攻撃が向いてしまうなと感じる部分はありました。教団からの直接なものだったら 10月7日に記者会見したときに自分が精神疾患をかかえているから嘘を述べているというようなことがあって、そこでもすごく 本当に自分の心をずたずたにされた気持ちになった。本当に好き好んで 目立とうとして訴えているわけじゃないのにそういう風に否定されるということはすごくショックでした。でも、この法案で自分が救われる可能性はすごく低いんですね。そこを自分が分かったうえで、今後の被害をなくしたいし自分のような宗教2世を生み出したくないし、その気持ちでやっぱりここまで来られたなと思います」

――声を上げることをやめたくなったことはありますか?
「自分がこどもを生んでなかったらたぶん止めていたと思います。子どもの笑顔とかに 何度も救われたし、だから本当に自分が一番ほしかったのは、親からの無条件の愛だったんですね。全部教会とかそういうもののフィルタ―を通してでしか自分を見てもらえなかったのが一番辛かったという心残りがあった。だから、私の子どもへの愛は無条件だと思っているし、どんなに教会や大勢の人を敵にまわしても、それでも子どもたちに宗教被害を残したくないという気持ちと方向性は間違っていないと最後まで信じていたので、できたと思います」

「課題を忘れずに議論してほしい」

――新法は子どもを守りきれるものではないとおっしゃっていたが?
「債権者代位権の部分は子どもが訴えなきゃいけない。家族の取消権というのをずっと私は言っていたんですが、それが導入されたとしても子どもが訴えることにすごくハードルが高い法案になってしまっていて、そもそも献金被害の根源である悪質な教団を行政処分ちゃんとしてほしいですし、子どもがもっと訴えやすくなるような特別補助制度や特別補助人の制度をもっと組み入れられたらなと思います。しかし、今回の法案で成立すると思うので、しっかりと見直しをされていったうえで そういったものが組み込まれればもっともっと宗教2世が救われるものではないかと思います」

――今後に期待することは?
「今後も課題が残っている部分をまだまだ見過ごさず議論を続けていってほしいです。国会議員の人たちもこれで終わりじゃないと言ってくれている人が本当に大勢いるので献金の規制っていうものであって、まだまだ宗教2世の人権・信仰の強制、宗教の人権侵害はまだまだ課題が残っている部分があるのでそこを忘れずにしっかりと 今後も検討、議論を続けていってほしいです」

2022年12月09日(金)現在の情報です

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