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【解説】コロナ感染後の子どもがまれに発症『MIS‐C(小児多系統炎症性症候群)』...2~6週間後に高熱・発疹・下痢などの症状

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 全国的に新型コロナウイルスが急拡大して“第7波”に入ったとされています。感染者が増える中、注目される「子どもの病気」があります。体の様々な部位で炎症が起こるというこの病気について、医師で公衆衛生に詳しい関西福祉大学の勝田吉彰教授に聞きました。

 全国の1日の新規感染者数を示したグラフを見ると“第7波”は早くも第6波の人数を超えました。
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 第6波のピークが2月2日の約10万4000人だったのに対し、7月16日は約11万人となっています。

 (MBS 河田直也アナウンサー)
 「第7波においては、我が家4人家族のうち私以外3人が感染しました。家庭内でできるだけ感染対策とか隔離生活は徹底してやりましたが、それでもやはりオミクロン株の感染力が強いのか防ぐことができなかったというのが現状です。家族の症状は、最初にぐっと体温が上がって、38.5℃ぐらいまで3人とも熱が出ましたが、2日ぐらい経つと落ち着いて、もうその後は比較的普通だったというのが、今回私が家族から見て取れた症状という感じですね。私がその1年前に感染したときは、おそらくデルタ株でしたが、その時は肺炎を起こして非常に苦しかったので、あのときとずいぶん違うなというふうに私は思いました」
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 ―――感染拡大を受けまして、岸田文雄総理は7月15日、新たな行動制限は現時点では考えていないというふうに話しました。この岸田総理の判断について、豊田真由子さんはどのように思われますか?
 (元厚労省官僚・元衆議院議員 豊田真由子さん)
 「問題は、重症化して亡くなる方を出さないということなので、そういうことでいうと、やっぱり今のオミクロンBA.5は感染力がものすごく高くなっているといわれているんですが、重症化リスクは増えてないということなので、そこを冷静に見ているということと、ずっと今まで申し上げている通り、行動制限することによる社会経済とか教育とか皆さんのメンタルへのマイナスとのバランスをとっていると思って妥当だと思います」
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 ―――お医者さんの立場から勝田吉彰先生はどのように思われますか?
 (関西福祉大学 勝田吉彰教授)
 「グラフを見ますと、重症化した人の数が今のところは多くはないんだけれども、よく見ると少し上がり傾向にありますよね。おそらく、第6波の重症者数のピークをドンと突き抜けるようなことにはならないのかなと思うんだけれども、増加しているところが注意。例えばオーストラリアなんかでも、4月1日、3月31日の最初のあたりで、ビクトリア州で『コードレッド』というんですけども、もう本当にひっ迫の状態、救急車がパンパンということがありました。ですから早め早めに手を打っていかないと、ちょっとトラブルが起こるよというところは、頭の隅に置いておきたいと思うんです」
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 そんな中、感染拡大で注目される子どもの病気についてです。MIS‐C(ミスシー)=小児多系統炎症性症候群というもので、コロナ感染後の子どもがまれに発症するということです。体の様々な部位で炎症が起き、心臓の機能が落ちることもあり、海外では死者も出ているということです。国内ではこれまで少なくとも20人が発症し、この20人は幸い全員回復したというふうに伝わっています。

 ―――勝田先生、このMIS‐Cについて教えていただけますか?
 (関西福祉大学 勝田吉彰教授)
 「アメリカのデータで、100万人あたり316人という数がこれにかかりますと、コロナの後にですね。それで様々な部位というのは例えば呼吸器・循環器・神経系。そして浮腫ができるといった様々な症状が出てきます。そして発疹も出てきます。ベースとして1つは炎症つまり免疫のバランスの崩れというのがあるんじゃないかなと言われています。例えばサイトカインストームという暴走ですね、ひょっとしたらあるかもしれないということがあります。心臓機能が落ちて十分な循環がいけなくてショック状態になって、そしてICU(集中治療室)で治療しなければいけない、ということも起こっています」

 ―――疑われる状況としては、コロナ感染の2~6週間後に高熱・嘔吐・目が赤くなる・発疹・腹痛・下痢などと、症状はいろいろありますね?
 (関西福祉大学 勝田吉彰教授)
 「嘔吐・腹痛・下痢は消化器の症状ですね。それからブツブツができて、ちょっと診察しないとわからないかもしれないけど呼吸器症状、目が赤くなる。つまりこれまでのコロナとは異質なものが複数出てくるよっていうことですね。川崎病という病気とちょっと似ているのではないかといって鑑別をしっかりしましょうということが実はマニュアルに書いてあったりします」
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 ―――2~6週間後にこういう症状が出たらお医者さん診てもらうというのがいいですね?
 (関西福祉大学 勝田吉彰教授)
 「そうです。まずは受診してください」

 勝田先生は、MIS‐Cは致死率が1.4%と高くないけれども、感染後の子どもの様子はちゃんと見てほしいとしています。

 ―――ワクチンに関しては効果ありと言われていますが、家族でもよく話し合って接種するかどうか判断を、ということなんですね?
 (関西福祉大学 勝田吉彰教授)
「メリットとデメリットを比較しましょうというのはこれまで散々言ってきたことではあるんですが、さらに1つこのMIS‐Cという要素を付け加えてみましょうということです。1つはね、大人がしっかりワクチンをして子どもを守るということで、これになる確率だってね当然減るわけです」

 ―――大人がワクチン接種して大人が感染しない状況を家庭内で作るということですね。豊田さんはMIS‐Cについてどうお考えですか?
 (元厚労省官僚・元衆議院議員 豊田真由子さん)
 「子どもさんもそうですし、大人の方も、コロナは大丈夫だと思っていても後遺症がすごく続くというのはずっと問題視されているので、やっぱりかからないにこしたことはないので、自分でできる範囲の感染対策は、そんなに過敏にならない範囲でした方がいいと。お子さんのことを親御さんはすごく心配になっちゃうと思うんですが、勝田先生もおっしゃったように、まれなので。アメリカの例でいうと、アメリカはこの2年間で9000万人ぐらいが感染しましたが、その中でこのMIS‐Cの方は8600件ぐらい確認されていて、そのうち70例が死亡されたということなんです。確かに油断はできないんですけれども、確率としてはそんなにすごく心配するものではないんですけれども、できる感染対策をしながらみんなで気を付けるということだと思いますね」

 ―――新型コロナワクチンについては、ファイザー製のものは5歳~、モデルナ製は12歳~ということで、これを機にちょっと家庭内で1回お話をするというのはいいかもしれませんね?
 (関西福祉大学 勝田吉彰教授)
 「メリットとデメリットを比較するということ、これはやはり自分の頭で考えることが大事なので、ぜひこの話を聞いて、またそれを一通りやってみる、ぜひやってください」

2022年07月19日(火)現在の情報です

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