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売り上げ急増の「競輪場」なのにスタンドはガラガラ 最寄りの駅前にはシャッター街...状況打破へ『ファン以外も楽しめるようなレジャー施設』整備検討

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 「ネット投票」の影響で売り上げが急増している競輪業界。一方で、競輪場に訪れる人の数が減少傾向にあるとして、こうした状況を打破しようと、競輪ファン以外も楽しめるようなレジャー施設などを作ろうとする動きが京都府で行われています。

 激しく競り合う自転車を間近で見ることができる「京都向日町競輪場」。しかし…。
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 (来場者)
 「(Q向日町競輪場の良さは?)日本で一番汚い良さやろ。いま日本で飛び抜けて汚い」
 「椅子見てくださいよ、誰が座りたいんこれ」
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 投票所の屋根は無惨に破けて鉄骨がむき出しに…。建物のいたるところがひび割れていて、競輪場のキャラクター「ムコリン・ムッチー」も色褪せた姿で老朽化を切実に訴えます。
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 京都府が運営する向日町競輪場が開設されたのは1950年。一時は年間100万人もの来場者で賑わいましたが、1990年代をピークに売り上げは右肩下がりに。ついには、赤字経営が続き2011年に当時の知事が「存続は難しい」と発言するなど、廃止の方向へと大きく傾きました。
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 しかし、いまになって経営状況に大きな変化が起きているのです。

 (記者リポート)
 「一時は廃止の危機に立たされていた向日町競輪場ですが、行かなくても買える『ネット投票』の影響で売り上げがいま急増しているといいます」

 好景気の立役者となったのが、スマートフォン1つでどこからでも車券を購入できる「ネット投票」。コロナ禍の巣ごもり需要もあり、2021年度の車券売り上げは前年度の約124億円から2倍ほど増えて約236億円。黒字はなんと3倍の約9億円になりました。このV字回復により、廃止の危機から一転して競輪場の存続が決まったのです。
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 ところが、これで一件落着というわけにはいかないようです。

 (日本競輪選手会京都支部 武田哲二選手)
 「昔に比べてネット投票が主流ということで、競輪場に来ていただけるお客さんの数が減っているというのは確かです。ただ、僕ら走っている人間としては大きな声援をいただいて走る方がやる気も出ますので」
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 たしかに、スタンドを見てみるとレース中でもガラガラ。来場者の数は約50年にわたって減り続けていて、その状況は変わっていないのです。
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 コロナ禍も相まって、競輪場の最寄り駅・東向日駅の前にある商店街ではほぼ全ての店が閉店してしまいました。

 (寺戸町連合自治会 岡崎雄至会長)
 「以前は競輪があれば市内が交通マヒになるくらい人が来ていて、それなりの経済効果もあったと思うんですけど、(いまは)全くゼロになったんじゃないかなと。競輪場周辺の商店や事業所が活性化できれば」
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 売り上げ急増で存続が決まったのに人はやって来ない向日町競輪場。こうした状況を打破しようと、府は去年から外部有識者による会議を開催し、競輪場のこれからについて検討を進めています。新たなにぎわいが生まれる場所を目指し、使われなくなったスタンドや投票所を解体するなど、競技場をコンパクトに維持しつつ、子どもたちなどの競輪ファン以外も楽しめるようなレジャー施設を作るなどの方向性が示されています。

 (京都府・総務調整課 仲村貴人参事)
 「ここは向日市の一等地なんですよね。そういう面では土地の有効利用ができていないのではないかと思っています。競輪もやりつつ、地域にとって親しまれるような施設に生まれ変わらせていきたいと思います」

 工事は再来年度にも始められる予定で、向日町競輪場はいま、まさに変革の分岐点に立っています。

2023年03月07日(火)現在の情報です

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