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65%が孤立?増える『男性介護者』の実態...食事・排泄の介護などで戸惑いも 「つどい」立ち上げ者に聞く『元気なうちにすべき準備』は

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 神奈川県で起きた老老介護の末の殺人事件。家庭内で介護をする人は女性が7割、男性は3割という厚労省の調査結果がありますが、近年は男性の割合が増えてきているといいます。そして家族を介護する男性の約65%が孤立しているというデータもあります(山梨県の2021年度調査)。男性が行う老老介護の実態と当事者の思いを取材しました。

 滋賀県湖南市に住む80歳の木田博隆さん。アルツハイマー病を患う81歳の妻・千代子さんと2人で暮らしています。千代子さんは2016年に病気を発症。現在は介護認定で最も重い「要介護5」の診断を受け、平日は施設に入所して、週末だけ家で一緒に過ごしています。
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 (木田博隆さん)
 「これは足を置くクッションです。千代子さんはO脚ですからね。クッションに足を挟んで『おばあちゃんこれから運動するよ』と言ってクッションを動かす。そうすると服をずらすことが楽にできるでしょう」

 食事、排泄、すべてを博隆さんが担ってきましたが、最初は戸惑うこともあったといいます。

 (木田博隆さん)
 「ご飯をどうやって食べたらいいのかわからない、お便所に行くのにどこからどうして行ったらいいのかわからない。最初は本当にどうしたらいいかなぁ…と。相談する人もいないしね」
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 そんな中、博隆さんは知人を通じて『中北の家』を紹介されました。中北の家は、男性介護者が集まり介護の悩みを共有し合う場で、毎月1回行くようにしてから心が軽くなったといいます。
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 (木田博隆さん)
 「そういうところに行くといろんな人がいるからね。その人の訴えることを聞いたり、うちもこういうところが一緒だったなぁとか。私はものすごく救われました」

 この場所をきっかけに今は周りの人にうまく頼りながら介護ができているという博隆さん。男性介護者を孤立させないことが大事だと話していました。
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 滋賀県で男性介護者のつどい『中北の家』を立ち上げた小宮俊昭さんによりますと、男性介護者は、▼プライドが高く踏み込んでほしくない▼介護を仕事のように一生懸命やる▼『つどい』は女性ばかりで行きにくい▼妻や家族に悪いことをしたと思い込んでいて罪悪感から介護が罪滅ぼしと考える人も、ということが傾向としてあるということです。
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 そのため小宮さんは、夫婦が元気なうちに準備しておいてほしいこととして、以下のような例を挙げています。

 ▼2人で介護施設のボランティアに参加して、介護や高齢者について学び・想定して、心の準備をしておく。
 ▼定年退職前から趣味やコミュニティの場に積極的に参加し、妻は夫を誘って一緒に行く。退職後にしようと思っても見つけられない。
 ▼介護に必要な料理スキルをきちんと学ぶ。後片付けまでが料理。

2023年07月18日(火)現在の情報です

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